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工事費増額は悪いこと??北山トンネル工事費増額を側面から見る?
盛岡の郊外の団地と中心部を結ぶ北山トンネルの工事費が増額となり議論を呼んでいる。
20060702223433.jpg
北山トンネルは約1kmのトンネルで、一昨年平成16年3月に51億円で工事契約がなされ工事が進められてきた。
これまでに、昨年10月に17億5千万円の増額変更し、今年さらに18億円の増額変更が必要になったという。工事が始まって2年間で35億円、7割の増額が必要になった。
事業を行なう県の担当者は、「地質が当初の予想以上に脆弱であるため、地盤を固めるボルトを打ち込むなどの補助工法が必要となった」と説明しているが、市民やマスコミの間からは、「調査不足や見通しの甘さ」を指摘する声があがっている。

7割も増額すると聞けば、世間一般の常識から見れば異常なことであり、非難の声を挙げる事が一見当然のように見える。しかし、この問題はもう少し違った側面から深く考えないと本質が見えないし、単純な非難は今後に悪影響を及ぼす可能性がある。

結論から言うと「“細かく増額していく進め方”が税金の支出を最小限にする手法」であり、「増額を否定すると、もっと不経済になる」可能性があるというのが私の主張である。

このようなトンネル工事を行なう場合は、事前に地質調査が行なわれ、その調査結果を基に設計と工事費の積算が行なわれる。そして工事が始まると、掘り進みながら内部の地質状況の観察と、切羽からの先進ボーリングによる詳細調査を行ないながら、さらに掘り進めていく。すなわち“詳細調査と工事を同時並行的に行ないながら掘り進める”のがトンネル工事の特徴なのである。
事前の調査は、地表踏査、弾性波探査、ボーリング調査の組み合わせで行なうのが一般的であるが、限られた点や面のデータから、見えない内部の地質状況を立体的に推定するためおのずと限界があり、掘り進めないと分からないところは必ず残される。掘り進めるほどに調査精度が上がり、それに連れて新たに断層や破砕帯が見つかってくる。すなわち、精度が上がるほどに悪いものが見つかってきて地質状況は悪くなるのが通例である。病気の検査で、触診やレントゲンで見つからなかった病巣がMRIや内視鏡検査などの精密検査により新たに見つかってくるようなものである。
断層などの地質の悪いところが見つかれば、それに対応するため地盤を固めたり支保工を増やすなどの補強工法が必要になり工事費は増加する。すなわちトンネル工事などの見えないところを相手にする工事では、工事費は増額される方向に向かうのが一般的なのである。

さて、もしもこういう状況で増額が認められず、関係者が責められるようなことになればどういうことが起こるのだろうか。
事業担当者として考えられる方法は、増額をあらかじめ見込んだ工事費を見積っておくことになる。これは一見正しいことのように思えるかもしれないが、言葉を変えれば、「はっきり必要かどうか分からないものに適当に金額を付加しておく」ということである。そして、一旦こういうことを始めると、歯止めが効かなくなる可能性がある。50億円かかると積算しながら、「何が起こるか分からないから、増額を見込んで70億円にしておこうか、いや100億円にしておこうか」ということになってしまいかねないのだ。
設計者側はどうするかというと、より安全側を見込むことになる。安全側とは、“確認されている”調査結果では地盤の補強は必要ないかもしれないが、 “念のため”補強工法を設計に盛り込んでおくようにすることである。
こうしておけば、予想よりも地盤が悪くなっても大丈夫ということになる。
それでは、そういう安全側を見込んだり、事業費を付加したりして掘り進んでも、当初の調査により確認されていた以上に地質状況が悪くなかった場合はどうなるのだろうか。
それは当然 “付加して高く見積もった”分は減額して予算を返し、“念のため安全側に盛り込んだ”補強工法は削除すべきであるが、その当然の削減が行なわれ難いのが現実である。
一般的に役所の予算には “獲得する”という概念がある。獲得した予算を使うことに対しては抵抗感が無い。一般家庭でもそうであるように、お金が無いと切り詰める方向に動くが、余っていると切り詰める力が弱くなって散財してしまう。
設計面でも、最初に必要だとして盛り込んである補強工法を、現場の担当者が不要であると削除するのはかなりのエネルギーと勇気が要る。補強工法はトンネル内では人命にかかわることなので、現場では無いよりも有った方が良いと考えるのは当然である。工事の途中でこれを削除して工事費を減額し予算を返還したとしても、担当者に報奨金が出るわけではなく、万が一事故が起きれば、重大な責任を問われる可能性があるのだ。下手をすると刑事責任を問われるようなリスクを犯してまで、当初設計に見込んである補助工法を削減するより、安全性が高まるのならばそのままにしておく方を選択しがちになることは自然である。
このように、“念のため”とか “とりあえず”と言っても、一旦設計に盛り込まれたものを後から削減することは、余程のことが無ければ難しいのである。

そういう状況を理解したうえで、一般論的に事業というものを考えると、途中で事業費の増加も無く順調に無事に完成した事業というものは、実は余分な予算を無駄使いし、過大な安全性を持ったものであった可能性があり、逆に、事業費を徐々に増加して「見通しが甘い!反省しろ!」などと非難を浴びながらやっと仕上がったものが、予算的にも安全率的にも最もの効率的なものであった可能性があるのだ。

今回話題となっている、岩手県の北山トンネルについては、事前の調査が的確で十分であったのか、7割の増額が適正であるのかは、詳しいデータを見なければ判断できないが、一般的にはこういうことも有り得るということである。このことを理解した上で、市民やマスコミの「見通しが甘い!」とか、関係者の「増額が必要になったことに反省し、今後設計・積算などをより慎重にやっていきたい」という発言は、どちらも本当に当を得たものであるかどうか、斜に構えて考えてみる必要がある。
<疾風>
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テーマ:時事ニュース - ジャンル:ニュース

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